「レメディ」とは?
レメディとは、鉱物や植物などの物質を高度に希釈して振盪する操作を繰り返したものです。通常はそれを砂糖玉にしみこませたものを使います。
ただ、元の物質は天文学的に希釈されています。例えば、臨床の現場で使われる12Cという強さでは、100倍希釈して振盪を繰り返す操作(1)を12回繰り返したものなので、1,000,000,000,000,000,000,000,000倍に希釈されています(2)。
これは元の物質を大西洋に1滴落とした場合に相当します。実際によく使われるレメディは30C, 200C, 1000C など、さらに希釈したものがよく用いられいます。
「そんなものが効くのか!?」 と思うのはごもっともです。私も最初に聞いた時は信じられませんでした。でも実際に自分でやってみると、正しく選ばれたレメディは確かに有効なことを実感します。
注(1)100倍希釈して振盪するという操作を1回行うことを1Cといいます。
(2)アボガドロ定数を超えているので、元々の物質は1分子存在するか全く存在しないかです。
その人に「似たもの」としてのレメディ
なぜレメディによって「似たものが似たものを治す」という現象が起こるのでしょうか? それは、
私たち「生き物」に、自己治癒力があるからです(1)。
ある薬が生体内に入ると、まず、薬が身体に作用することによって生じる変化が起こります。それはいわゆる薬理作用と言われるもので、一次反応と言われます。
でも薬は身体にとっては異物なので、生体は自分のバランスを取り戻すために、その薬理作用を打ち消そうとする反対の反応を起こします。それを二次反応と言います。自己治癒力による反応です。
その二次反応を適切に誘導することによって、患者の自己治癒力に働きかけるのがホメオパシーです。そのために用いられるのが「レメディ」です。
注(1)「生き物」であればホメオパシーは有効なので、もちろん動物にも有効です。動物を専門に見る、獣医ホメオパスにも素晴らしい方がたくさんいらっしゃいます。
薄めれば薄めるほど効果は強く深くなる!?
物質を希釈して振盪する操作を繰り返すと、物質としての薬理作用は当然減弱します。ところが、それに続いて生体に引き起こされる、薬理作用を打ち消そうとする二次反応は、減弱するどころか、かえって増大することが知られています。
つまり、信じられないことに、
希釈振盪を繰り返すと
自己治癒力に働きかける力は、むしろ強くなる
ということです。
この段階的に希釈して激しく振盪する操作を繰り返すことを「潜在能力活性化」あるいは「ポーテンタイズする」(potentization) と言います。実際に臨床でよく使われるレメディは、もともとの物質が1分子も残っていないほど天文学的に希釈されています。もともとの物質がほとんど残っていないので物質的な薬理作用はほぼありません。レメディにあるのは、薬理作用を打ち消そうとする二次反応を生体に誘導する力だけです(2)。
注(2) 物質的には不活性なものがポーテンタイズされることで医学的な効果を発揮するようになるものもあります。例えば食塩(塩化ナトリウム)をポーテンタイズして作られたレメディ(nat-m)は、ホメオパシーの治療薬の中で、とても重要な位置を占めています。